先日、ヒトリエのライブ「Summer flight tour 2022」の鹿児島SR Hall公演に行ってきました。この記事はそのライブレポートになります。セットリストなどのネタバレになるので、まだ公演を観られていない方はブラウザバックを推奨致します
前置きここまで、以下本文
8月17日、曇り。新幹線で1時間近く揺られて鹿児島中央駅に到着。中学生の時に家族旅行で訪れた時以来だったので本当に右も左もわからなかったが、とりあえず会場である鹿児島SR Hallの位置をスマホを頼りにある程度把握して、開場までの時間ぶらぶらと街中を散策した。
鹿児島水族館でデカい魚を観たり、桜島をぼんやりと眺めたり、水族館を出た後に海鮮料理店に行ってランチを食べたり、鹿児島県立図書館に行って地元のジジイの隣で雑誌を読んだり、乗ったバスが僕が持ってるICカード非対応で焦ったり、開場隣のラウンドワンの小規模版みたいな遊戯施設で適当に遊んだり、お土産を買ったり、豚とろラーメンを食べたりしているといつの間にか開場時間になり、そのまま指示に従って入場。物販で一番安かったTシャツを一枚だけ買って、汗もひどかったのでトイレで着替えた。デザインも可愛くて生地もやわらかく良い感じなのでおすすめ
お土産などで荷物が嵩んでいたがロッカーの場所が分からず、やむなくスタッフの方にお金を払って預かってもらうサービスを利用した。後から気が付いたが1階にコインロッカーが設置されており、そっちのが安かった。こんなもんは来る前に調べるべきです。
鹿児島SR Hallは収容人数180人くらいの箱らしく、思ったより全然狭かった。勝手に福岡のBe-1(300人)くらいの規模だと勘違いしていたのでびっくりした。関係者席が後方に3席分くらいあったけど、誰が来ていたかは知らない。製番が結構後ろだったこともあって、上手側の後方に陣取った。
ライブ前の待ち時間ってどうやって過ごすのが正解なんだろうな、などとぼんやり考えていると客電が落ち、SEが流れる。なんかあんまり聴き馴染みのないダンス系というか、インターネットっぽい曲だった。
たしかゆーまお、イガラシ、シノダの順番で入場。シノダさんが前に出てバンザイみたいなポーズとってた気がする。うお~~何年かぶりの生のヒトリエだ~~~と内心大興奮しながらも、果たしてあの、世紀の大名盤であるPHARMACYの楽曲たちが今回のライブでどのように化けるのかをめちゃくちゃ気にしていた。
ギターを引っ提げ、一瞬の間を置いてシノダさんのボーカルから1曲目「Flashback,Flancesca」でライブは開幕した。アルバムでも特に大好きな曲だったので、1曲目からずっと高揚感で踵が浮いていたように思う。ここからライブ中2時間くらいずっと地球の重力とおさらばするような心地だった。
ゆるやかに、しかしタイトに、落ち着きながらもダンサブルな曲調が薄緑と青の寒色を基調とした照明によく合っており、僕以外の観客も各々が曲のリズムに合わせて静かに踊っていて、2か月前に出たばっかりの曲とは思えないほどの馴染みようだった。
あとこれは他の曲にも共通することなのだが、ライブはわりと同期音源の音量が控えめになっており(というかギターとベース、とくにベースの音量がえげつないので相対的に小さく聴こえる)かなりバンドサウンドが前のめりに伝わる聴き心地になっていた。この「Flashback,Flancesca」も例に漏れず音源よりかなりギターが強めで、浮遊感に加えてカッティングのノリが出ていて、より一層踊れる仕上がりとなっていたように思う。完全に別物、というわけでもなく、違った一面を観られた、みたいな感じ。
最後の1節を滑らかに歌い終えてほとんど間も開けることなく、
シノダ「ヒトリエです、よろしくどうぞ!」
手短な挨拶からの2曲目「ゲノゲノゲ」で一気にボルテージが上がる。これも音源と比べて迫力が段違いだった。最後方で観ていた僕でさえのけぞりそうだったのだから、最前列に居た方は気絶とかしなかったのかしらと今更心配になってくる。
この曲は間奏の各ソロパートがカッコよかった。そこまで音源と変えている部分もなかったと思うのだが、やはり各楽器のアンサンブルはヒトリエの十八番……と腕を組み頷きながら観ていた。今後わたくしのことは「巨匠」とよんでほしい
しかしまああんな早口言葉みたいな歌詞をよく噛まずに歌えるもんだと、シノダさんの舌の高性能さにほれぼれする。wowaka楽曲に鍛え上げられた滑舌を存分に発揮している。アナウンサーかラジオパーソナリティとしてもやっていけそう。
「10.9.8.から4まで飛んだらあなたもゲノゲノゲ」から観客の拍手もそこそこに、シノダさんが真ん中に移動し、飛び跳ねながらスーパーギターソロを披露。どんどんとテンションが上がっていき、聞き覚えのあるギターリフからつながるは前作「REAMP」から「ハイゲイン」を披露! 個人的にめちゃくちゃ生で聴きたい曲だったので大変うれしい選曲だった。
叩きつけるような楽器の三重奏、とめどなく押し寄せる言葉の乱打、そのすべてが激烈な情報量の暴力となって押し寄せるこの感覚! ああヒトリエだ、俺の前にいるのはヒトリエだと、細胞のすべてが狂喜する感覚、自分が今一番無敵だと錯覚してしまうあの全能感! 数年前当たり前に味わっていたライブの楽しさの根源に素肌で触れられる贅沢に、鳥肌が立ちそうだった。
コーラス含めた雄たけびのようなラスサビで、我慢できずステージを指さしてしまうなど、柄にもなくかなりはしゃいでしまった。最高。厚生労働省はさっさと必須栄養素に「生のハイゲイン」を入れろ 何がビタミンだ、死ね
嵐のような1曲が終って、拍手と共に暗転。ほどなくしてステージに照明が灯り、チューニングを済ませたシノダさんが口を開く。
シノダ「お久しぶりです鹿児島。……3年振り? ほんとはベストアルバムのツアーで回る予定だったんだけど、まあ諸事情あって、来れなくなって。今回無事にくることが出来て、これ以上の幸せはないなと、思います。最後までよろしくお願いします」
短い挨拶から披露された4曲目はアルバムのポップス部分の軸である「風、花」だった。これが結構音源とは別物に仕上がっててびっくりした。
上でも書いたようにシンセの音よりも鳴らす楽器の音がかなり大きめになっているのでロック色が強めに出ていることに加えて、ジャズマスターで弾いてることもあって音源よりめちゃくちゃ尖って聴こえた。もっと分かりやすく言うと超カッコよかった。全然違った。ギターソロとか良すぎて絶頂するかと思った。これはぜひライブ音源が欲しい。んなこと言うと全部なんだけど。
ギターを置いて5曲目「SLEEPWALK」がスタート。 とっくに定番曲となったこれも久々に出会えて嬉しかった。これはいつ聴いても思うんだけど、間奏にwowakaの声をサンプリングした音を入れてることで、ずっと彼の幻影がステージに立ってるように思えるの本当に胸が苦しくなる。メロディラインと言い展開と言い本当に大好きな曲。
一旦区切ってギターを持ち直し、シンセイントロからの「電影回帰」で、会場の空気が弛緩する。
これはちょっと前にあった某ケバブなバンドの生放送で、この曲のベースについて言及されていたこともあってベースにばかり聴覚の集中力が持っていかれていた。最高に音がデカくて複雑でカッコよくて、脊髄にまで染み渡る重低音。言われて気付くその魅力……
そんなベースの魔力に酔いしれていたのもつかの間、シノダさんがまた真ん中に来ておもむろにギターを弾き出したかと思えば、そのフレーズはまさかの「イヴステッパー」だった。まさか聴けるとは思ってなくて腰を抜かすかと思った。鹿児島の地で聴く、東京、雑踏、せつなの夢 こんなもん我を忘れて踊るに決まってる
ノリと歌唱力が何よりものをいう楽曲だと信じてやまないのだけど、本当にベストなテイクだったと思う。全編通してシノダさんのボーカルとしての練度の向上が著しい。成長性が高すぎる。主人公のうつわ
そして我等がベースヒーローイガラシ氏のどっしりとしつつも滑らかなベースソロからつながるのは、喪失感を濃縮した名バラード「極夜灯」だった。「イヴステッパー」といい、「IKI」が好きな自分としてはめちゃくちゃ嬉しいサプライズだった。改めて考えても、これもかなり意外な選曲。もしかしてツアー重ねるごとに、過去曲を3人体制に構成しなおす名目でレパートリーを増やしてたりするのかしら。wowakaボーカルと同じく声にかすれたような加工を行った上で歌ってた。あとギターのカポ位置が思った以上にハイポジで(遠目だったのでよくわからなかったが、7カポとかそれくらいに見えた)オルゴールみたいな音に聞こえた。
一度区切ってお次はアルペジオから「Neon beauty」をプレイ。無機質なイントロからメロディアスなサビにつながる構成のライブ映えがすさまじかった。あと照明が結構暖かい色(オレンジとか)で意外だったけど、曲とマッチしててへ~! となった。ネオンっていうだけあってブルーな印象を持っていたので。
ダンサブルでロックなこの曲を歌いあげ、少し間を開けてシノダさんのMC。
シノダ「Summer flight tourってことで来たんですけど、何とも言えない天気で……今日気圧すごくない? 曇天って感じで」
途中飲んでる水か何かでむせてげっぷして「失敬」とか言ってて、ロックスターだなって思った。なんとなく。そのままいつものように汗の量で観客にマウントを取り出すシノダさんに、ほんとに何にも変わってないなあと安心したりした。他の地方では知らないが、九州の方面に来たらシノダさんは毎回MCで自分の汗の量で観客にマウントをとる。アセハラ。少なくとも僕がこれまで鑑賞したライブはほとんどそうだった。
シノダ「汗かいてんの俺だけ? ……まあこれから先、ばかくそぶち上げ曲しかやらないので、よろしくおねがいします」
その有言実行と言わんばかりの10曲目、件の世界一エモーショナルなイントロから炸裂するは「カラノワレモノ」! 最高なんて通り越してもはやズルである。こんなもん流石に飛ぶしかない。もちろん飛び跳ねましたとも。抗えない。ただ足元のソーシャルディスタンス厳守の張り紙だけは気にしながら飛んだ。
間髪入れず11曲目、「PHARMACY」でもダントツの疾走感を誇るキラーチューンであり、このツアーの顔と言っても過言ではないぶち上げソング「Flight Simulator」が、暴力的なまでの音圧を伴っておそいかかる! 本当にベースの圧がヤバすぎて、マスクの下でずっと笑ってた。暗い暗いライブハウスの黒が、一気に快晴の青空に塗り替わる様な錯覚を起こすかのような疾走感、爽やかさ。視界がぶわっと開けたような心地が、高揚感を大気圏までぶっぱなしてしまう
そして間髪入れずに鳴らされる単音ベースからの鬼のようなベースソロ、から叩きつけるドラム、そして、
シノダ「鹿児島の皆さんに一つ質問がございます、お客様の中で、踊り足りてない方はいらっしゃいませんか?」
恒例の述べ口上、待ち望んでいた確定演出。声が出せない代わりに手を挙げて応える観客に、
シノダ「お客様の中でェ!!!! お―――――――――どり足りてない方はいらっしゃいませんかァァァ!!!!!?」
全力で手を挙げる。もうずっと、その楽しさを生で味わっていなかった身体に、その述べ口上は効きすぎる。あまりにも効きすぎる。
「オン、ベース! イガラシ!!」から音圧のバグったベースソロ、テンションはもう極限まで上がっている。
シノダ「エビバディ1・2!?」
1・2・3・4!! でジャンプした瞬間に始まる最強のライブ定番曲「踊るマネキン、唄う阿呆」さすがに感無量だった。 もう正直楽し過ぎて記憶がほとんど飛んでしまってるが、少なくともあの夜のあの瞬間の鹿児島SR Hallが今夜の鹿児島で、いや九州で一番熱量の高かった空間だと思う。世間は感染爆発、俺は汗腺が大爆発 ウイルスはこの空間の熱量で全部死ぬ 殺気による殺菌
間奏の時にシノダさんが「ァーーーーーーーー!!!!」って絶叫してて大変楽しそうなのが良かった。そのまま怒涛の勢いで演奏を終え、アウトロのギターをかき鳴らしたかと思うと一言
シノダ「鹿児島の皆さんはもしかしたら初めてかもしれませんね、これが本当の3分29秒です!」
瞬間ピックスクラッチ、からの殴打されるドラム、ハイトーンで歌い上げられる「哀願しても懇願しても変わらないや、もう」 鬼すぎる セットリストの構成が鬼すぎる 俺にどうしろって言うんだよ
「Flight Simulator」から間に「踊るマネキン、唄う阿呆」を噛ませての「3分29秒」は、あまりにも無敵すぎて茫然としてしまった。実際に体感して思ったが、生で聴く「3分29秒」はまちがいなく神経系に作用するドーピング成分とかがしこたま入ってる。「PHARMACY」の「Flight Simulator」繋ぎのこの曲も最高だったが、さすがにこの流れから切り込まれるとおかしくなってしまう 心臓が破裂しそう
あらゆるところに入れられたバキバキのキメ、同期音源と息ぴったりの三人のアンサンブル、圧巻のギターソロ。圧巻の言葉がこれほどまでに似合う曲もない。ライブ配信で観ていたあの姿と、ようやく対面できた。感無量だった。その狂乱もつかの間
シノダ「この曲を、鹿児島という地に捧げます、wowakaより、愛を込めて」
泣くじゃん。それは。泣かなかったけど。
15曲目、満を持して披露されるは、wowakaさんの生まれ故郷に捧げる三人の「アンノウン・マザーグース」 もう、言葉が無かった。本当に。
ただこの曲がこの場所で、この三人で披露されるよろこびに立ち会えたことだけが嬉しかったし、ずっと先までここにきてこの曲を演奏してほしいと思った。この曲のシンガロン部分を何のためらいもなく一緒に歌える日はまだ遠いのかな。
宣言通りの「ばりくそぶちあげ曲」の連打を一区切りして、拍手の落ち着いた客の前で、シノダさんのMC。途中スタッフの方がシノダさんが話してる途中にマイクスタンドに取り付けられたカポか何かが気になったのか直しに来て、それにシノダさんがこらえきれず噴き出すなどの珍事があった。
シノダ「Summer Flight tourということで……夏なんですけど、夏好きですよ。うん。夏って季節を嫌いになったことは、一回も無いんじゃないかな。セミ以外は」
シノダ「まあ鹿児島に来たということで、リーダーにね、線香の一本でも上げようかなって、線香上げに行ったんですけど、まあこれがなかなか火が点かなくて。リーダーから「もうシノダさん早くしてくださいよ……」って言われてるみたいで、リーダーすいません、すいません って心の中で言いながらね、線香上げました。とりあえずすぐ言いましたよ、リーダー、またナンバーガール解散するよって。えぇ…… みたいな」
シノダ「んで、こっち(鹿児島)にまだ、リーダーが持ってたギターがあって。赤いのとか白いのとか。それも久々に弾きに行ったんだけど、弦もサビッサビで。チューニングするアプリ使いながらチューニングしたんですけど、その機械の調子が悪かったのか全然合わなくて、また「シノダさん早くしてくださいよ……」って、すんません、リーダーすんません、って言いながらね、チューニングして、弾いて」
シノダ「ああ、そのまんまだな、って思って」
シノダ「ギターの汚れとか、あとリーダー俺より多分(ストロークが)強いのとか、そのまんまで……なんか…………夏で良かったって、思いました」
シノダ「もう三年経ったよ。三年経ってもまだやってるよ。聴こえてっかどうか知んないけど、俺らまだカッコいいし」
声をところどころ詰まらせながらのこのMCで自分の中の感情がぐちゃぐちゃになって、どんな顔していれば分からなくなっているところに
シノダ「貴方達に、夏の一瞬を刻みます」
そこからの「Quit.」は反則だろ。泣かなかったけど。こちとらもう涙腺に行く水分全部汗腺から出て行ってしまってるんですわ。かぴかぴでした。
シンプルなギターストロークから入った「PHARMACY」を締めくくる壮大なロックバラード。直前のMCもあってアルバムで聴いた時とは全然違って聴こえた。マジでメロディが好きすぎる。「何も知らないくせに~」の部分が本当に真に迫っていた。なんかもう、この先夏の夕暮れに出会うたびにこの曲を想起して感極まってしまう気がする。夏の呪いのような一曲。
最後はシノダさんが真ん中でギターを鳴らして終了。一息ついて披露されたのは「strawberry」 上述のばりくそぶち上げ曲の連打、ちょっと待ってくれよと言いたくなるMC、からの「Quit.」を終えての「strawberry」は、なんだろうな、焼き肉が終った後の杏仁豆腐というか、寿司の後のガリと言うか、あれ? 俺はなんであんなに感情を乱高下させてたんだっけ? となってしまうほどにゆるい。あれだけ哀愁が漂ってた空間が、一曲でガラッと変わったのが印象的だった。
シノダ「次で最後の曲です、夏の思い出をありがとうございました!」
そして本編は3カウントのドラムからの「ステレオジュブナイル」で終了。 これは正直予想出来てたけど、改めて本当に良い締めの曲だなと思わされた。「Quit.」で終わるアルバムとはまた違った、大団円感のあるフィナーレ。こんなん聴いてくれんのお前だけ、今日はその「お前」がたくさんいてめっちゃいいなあと思った。ドストレートに最高の曲です。最高の曲しかない。照明がカラフルで幸せでした
名残惜しくも演奏を終え、挨拶もそこそこにはけていくお三方。もう一回! のコールの無い、ヒトリエのアンコール待ちの時間もちょっと新鮮だった。
そこまで間も開けることなく三人が再登場。全員今回のグッズのTシャツに着替えていた。イガラシさんは髪を結んでいた気がする。ステージの下手側に立つイガラシさんにシノダさんが肩を組もうとして、それとなく拒否されていたのがちょっと面白かった。
シノダ「まあ本当に久しぶりの鹿児島なんですけど、あんまり久しぶりって感じはしないですね。うお~来た来た鹿児島だ! って感じ」
ご当地PHARMACY猫はあれ(西郷さん)以外思いつかなかった、すまねえ、とか言っていたような気がする。ヒトリエとしてこれまでで訪れたことのある県の最南端が鹿児島らしく(意外にも沖縄は未上陸らしい)ゆーまおさんが「両極端の北海道と鹿児島はいい思い出しかない、東京で数万円出さないと食べられないものが安く食える」みたいな話してた。際限なくしゃべるわりに終着点が見えなくてヒヤヒヤしたが、ほどなくして潔く
ゆーまお「話尽きました」
シノダ「尽きた? ……ゆーまおでした」
その後イガラシさんの方に目を向け、「おいロン毛」と一言。少しの間を開けて
イガラシ「練り物苦手なんですよ」
シノダ「急だな」
イガラシ「苦手なんですけど、薩摩揚げは美味しかったです。お弁当に入ってて。いつも嫌いなものから先に食べるんですけど、美味しくてびっくりしました。人生における楽しみが増えた」
ゆーまお「今ので思い出したんですけど」
シノダ「おお、まだ行く?」
ゆーまお「サウナで初めて「整った」のが鹿児島です。やっべ~気持ちいい~~~ってなった」
シノダ「めちゃめちゃ大事な話じゃん」
ゆーまお「うん、もう尽きました」
シノダ「まあまあ頑張ったほうじゃない? はい、愉快なメンバー紹介でした」
あれだけ感情を揺さぶるライブを本編でぶちかましておいての、このゆるいMCの雰囲気もまた彼らのライブの醍醐味だと思った。
シノダ「鹿児島、久しぶりにくることが出来て良かったです。まあまた近々、近々とは言わないけど、必ずまた来ます。ありがとうございました」
そして直前までの和やかな雰囲気を切り裂く様に披露されるは「curved edge」! インタビューなんかで他でもない本人たちが「こんなんどうやってやるんだ」と自嘲していたことを、まったく感じさせない完璧な演奏だった。特にメインリフの裏でやってるドラムの手さばきは一体何なんだね。オイ
生「またプリング・ハンマリング繰り返して」が聴けて僕は満足です。ありがとうございました。次は生で「ワンツー!」やりたいね
そこからもう何度も何度も聴いてきたセッション、からの9回のキメ、なだれ込むラストはおなじみ「センスレス・ワンダー」! 大名曲、アンセム、必殺技! 少ない語彙では到底表現しきれない、三人の鬼気迫るアンサンブルが生み出す化学反応。生で聴く前にライブ映像を観返すなどして心臓を慣らしておくべきだったかもしれないね
イントロのwowakaさんが弾いていたバッキングがイガラシさんのベースによるバッキングになったとことか、多分他にもいろいろ変えて、三人体制での音の薄さを補って今の形に仕上げたんだなと思うと本当に胸が熱くなる。この日のセンスレス・ワンダーも最高にカッコよかった。
演奏を終え、三人がステージを去ったあとも冷めやらぬ熱気が会場をずっと満たしていて、アンコール後も手を叩いている方が何人もいらっしゃった。僕は呆然としながらも、受け取った衝撃と未だに耳孔に残る演奏の反響が出来るだけ零れ落ちない様に、さっさと荷物を受け取って会場を後にした。ライブ前は明るかった会場の外は、はもうすでに陽がとっぷりと暮れていた。ライブと一緒に、今年の夏も過ぎ去ってしまったような気がした。サマーフライトってそういうことか~とか思った。
Twitterでライブの感想を垂れ流しながらも、流石に年甲斐もなく幾度も飛び跳ねてしまったせいか、帰りの新幹線の席に座り込んだ瞬間に、明確に疲労を自覚した。さわやかさと、疾走感と、熱狂の渦の中でただ良い音楽を体感したことによる、心地よい疲労感だった。
追悼会以来の三人体制のヒトリエだったが、変わらず世界一カッコいい最高のバンドでした。ようやく生で観ることが出来て本当に良かった。次のライブを首を長くして待つことにします。ありがとうございました。
ヒトリエ Summer flight tour 2022@2022.08.17 鹿児島SR Hall セットリスト
01.Flashback,Francesca
02.ゲノゲノゲ
03.ハイゲイン
04.風、花
05.SLEEPWALK
06.電影回帰
07.イヴステッパー
08.極夜灯
09.Neon beauty
10.カラノワレモノ
11.Flight simulator
12.踊るマネキン、歌う阿呆
13.3分29秒
14.アンノウン・マザーグース
15.Quit.
16.strawberry
17ステレオジュブナイル
EN
18.curved edge
19.センスレス・ワンダー
帰り、新幹線に乗るために鹿児島中央駅に向かう際の信号待ちで、駅近くに観覧車があったことに気が付きました。昼間はまったく気が付きませんでした。ライトアップされてるのを見てやっと気づいた。
ちくしょ~ 今度来たときは乗りたい また来ます