愛の座敷牢

蕩けた泥のような愛による吐露を垂れ流す瀞

お題箱消化(3~5月)

 お題箱消化の時間である。前置きも書くことが特にないのだが、前置きが無いのも寂しいので、僕の優雅な休日を記述しようと思う。朝起きて洗濯機を回して、朝飯食べながらVtuberの配信を見て、洗濯ものを干しながらVtuberの配信を見て、寝転がりながらVtuberの配信を見て、昼ご飯を食べながらVtuberの配信を見て、ギターを練習しながらVtuberの配信を見て、本屋に行って漫画を買って、昼寝をして、洗濯ものを取り込みながらVtuberの配信を見て、晩御飯を食べて、お風呂に入って、気が済むまでVtuberの配信を見て、寝る。人として終わってないか? どこ基準で優雅なんだ

 この通り、最近のワタクシはVtuberの配信を見る機能の付いたウンコ製造機として日々の業務を全うしているわけでございますが、それ故に音楽を聴く時間というのがまあ去年と比べてガクッと減っているわけです。猫又おかゆが悪い。おかゆんの配信聴いた後に邦楽ロックとか野蛮すぎて聴けない。

 そんなだから能動的に音楽を聴くという行為自体が億劫になっている気もする昨今の聴覚事情であるが、だからこそお題箱におすすめを投稿してくれる方の存在は本当にありがたい。どうしても石多めになりがちな玉石混淆のApple Musicの公式プレイリストを、オタクのふるいにかけた状態で提示してくれるのは本当に助かる。加齢とともに新しいものを味わうための味蕾が衰え、検索エンジンにアーティスト名を入力することすらも正直気が進まない身である。助かる。お題箱に介護されている。ほんとうにありがとうございます。

 

 というわけでさっそくご紹介いただいた曲の感想をつらつらと記述していこうと思う。例によって駆け足気味にはなるけどそこはご了承ください。

 

 

・romance tower/Bye-Bye-Handの方程式

 

 

 逆にここまで正統派の邦楽ロックを聴く機会も減ってきたよな~と思った。サビの高音が素敵。軽やかな曲調に加えてプレイタイムも短くとても聴きやすい。わりと最近の(最近ってほどでもないけど)曲、Bメロが無い構成になっているの多い。サビに行くまで1分かからない。ライブのトップバッターを飾る曲としては百点満点な気がする。

 高校生の文化祭とかでやったら盛り上がりそう。それにしては難易度が高いのかな。

 

 

・たりないすくない/フジファブリック・幾田りら

 

 

 ぶっちゃけた話をすると僕はフジファブリックの良さが未だに分からないし、YOASOBIのikuraではないソロとしての幾田りらはただの歌がべらぼうに上手い女としか思わないんだけど、この曲はすごく好き。雰囲気と浮遊感がとてもこのみ。そもそもボーカル同士の相性が滅茶苦茶いい。もっとこのスタイルで何曲か出してほしい。1曲ではとてもたりないすくない。

 ミドルテンポのダウナーな曲を歌う時の声の出し方がとてもいい。Ayaseの曲でもこの歌い方やってほしいな

 

 

・旅路/藤井風

 

 

 知ってる。何も言うことがない。こいつが今一番ヤバい。

 

 

・Two Creatures/Stereo Fabrication Of Youth

 

 

 これはね~知ってますよめちゃくちゃ好きです。

 Stereo Fabrication Of Youthヒトリエのシノダさんがだいぶ前のインタビューで「ステファブを超えるジャパニーズロックに出会ったことがない(要約)」と語っていたことで知って、聴いてハマった経緯がある。インターネットの奔流に揉まれに揉まれて育った、現世最強のギターボーカルであるシノダさんがおすすめする音楽はもう、マジでハズレが無いのでみんなTwitterをフォローしような。

 2003年とかそれくらいにリリースされた、言うなればもう平安時代くらい昔の音楽なんだけど、全然今でも通用する。なんなら今年の5月にリリースされたばかりの曲ですと言われても、イケてるって判断する。僕なら。純度の高いオルタナティブロックとハイトーンボーカルの高次元な融合。嫌いな要素無し。聴くべし。

 

 

・Answer/幾田りら

 

 

 歌が上手い。幾田りらの今までの曲の中では好きな方。

 

 

・春を待って/never young beach

 

春を待って

春を待って

  • provided courtesy of iTunes

 

 二年前の曲。ギターが小粋で小生意気で小気味良い。never young beachといえば「サイダーのように言葉が湧き上がる」がめっちゃ良かった記憶。

 never young beachとYogee New Wavesがなんか被りがちなのはなんでだろう。名前のせいかな?

 

 

・Anytime,anywhere/メガネガリノッポス

 

 

 これはね~さすがに知らなかった。何者なんだろうな。素朴ながらも優しく、すごくいいバラード。曲名だけ見るとどうしてもGRAPEVINEの大名曲が思い浮ぶけど、ふつうに「いつでもどこでも」って意味なんですよねえ

 アコギを触るようになってから世の中のギター弾きが化け物だらけに思えて仕方ない。もしかして指が片手10本あったり腕が8本あったりするのだろうか。 

 

 

・Daily/キクチリョウタ

 

Daily

Daily

  • キクチリョウタ
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

 地方出身のアーティスト特集みたいな地元の無難なテレビ番組で歌ってそう。めちゃくちゃ性格がよさそう。

 

 

・fly/Miyuu

 

 

 人生の終わりに聴きたいタイプの曲。この世のすべてに対するエンディング感が半端ない。僕の中での世界の終わりソングはTHE PINBALLSの「ワンダーソング」もしくはUNISON SQUARE GARDENの「黄昏インザスパイ」だったんだけど、曲の雰囲気だけで言うならこの二曲に肉薄するエンド感を内包している。恐ろしき才能。

 でも別にこれアルバムの最後の曲ではないんだよな。ただのリードらしい。

 

 

・天/ビッケブランカ

 

 

 まあうん、あれだ。たのしそう。いえーい

 真面目な話をしろと言っても、ちょくちょくいろんなメディアで名前をお見掛けするこの人に対しての興味が、ほんとうに驚くほど湧かないんだよな。ずっと僕とは違う画層でずっと自分の好きな音楽を鳴らし続けるタイプの人だと思うんですよ。ナオトインティライミみたいな。

 どうでもいいけど普通の人類はブランカって名前をみるとビッケブランカじゃなくてウルトラマンの怪獣が出てくるよな~と思って調べたらなんかストFの知らんジジイが出てきて、あれ? と思ってよくよく調べてみると「ブースカ」だった時の衝撃よ。腹立つわ。ビッケブースカに改名してほしい。

 

 

・たとえたとえ/緑黄色社会

 

 

 甲子園アレルギーなので聴けませんでした。なーにがセンバツだよ、奇人変人の中でも特大の奇人変人を決めるバカが考えたバカの祭典の頂点を取ったところで超の付く奇人じゃねえかこんなもん蔑称だ蔑称。蔑称目指して青春を棒(バット)に振るアホの祭り。まあどのみちコロナで後の祭りだけど。こんな普通なら全国の野球少年からマウンドに引きずり出されてボコボコにされかねない文言を綴ったところで愛の座敷牢治外法権が適用されるので無傷です。

 なんでこんなに野球部のこと嫌いなんだろうね。曲?いい曲

 

 

・はゔぁ/ずっと真夜中でいいのに。

 

はゔぁ

はゔぁ

  • ずっと真夜中でいいのに。
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

 知ってる。ぐされのなかでもすごく好きな方。これと「機械油」が好き。

「潜潜話」は1周目からめちゃくちゃよかったけど、「ぐされ」は未だになんかピンときてない。ピンときてないのであんまり聴いていない。何度か聴けばぐさるのかしら。

 

 

・centi/にしな

 

 

 これは滅茶苦茶いい。本当に。前回「夜間飛行」をお勧めされた時も思ったけどこの音楽偏差値激高人望激アツ女であろうにしなとかいう人間はマジで良い曲しか作らないらしい。この人の作る曲の持つ独特な浮遊感、幻想的な雰囲気、ゆったりしてるのに緩やかに踊れるノリの良さ。どこを切っても最高。

 椅子に座りながら聴いてそのまま微睡に落ちてしまいたい曲。

 

 

・サピエンス/星野源

 

サピエンス

サピエンス

  • provided courtesy of iTunes

 

 結婚おめ

 

 

・BEST BEFORE/やましたりな

 

 

 めちゃくちゃ良い曲だし良い声なんだけど、僕のリアル知り合いに同姓同名の女(好きか嫌いかで言えばもうクソがつくほどにマジで嫌い。そしておそらく相手も同じ気持ち)がいるというそれだけの理由で-500億点くらいしてしまっている非常に惜しい曲。マジでもったいない。今からでもいいから改名をお願いしたい。

 

 

・恋する乙女の科学実験、サイボーグ/北原ゆか

 

恋する乙女の科学実験

恋する乙女の科学実験

  • 北原ゆか
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

 現代の声優ソングとちょっと前の歌謡曲のいいとこどりをしたような感じ。僕は「サイボーグ」の方が好み。なぜなら早いので。

 

 

・JOKER/山本彩

 

 

 みたことある顔だなと思ったら見たことあった。ソロ名義の曲があるの初めて知りました。MVの世界観わけわからな過ぎてびっくりした。トムとジェリーの台所戦争みたいな背景でギター弾くなよな。まあ良い曲でした。

 僕が今まで出たポケモンを全種類知っているように、卒業現役含めてAKB系統の子全員の顔と名前を存じ上げているやべえオタクもこの世のどこかにはいるんだろうなと思うと胸が熱くなる。オタクは気持ち悪くあるべき。

 

 

・DOLL'S LIFE/佐藤ノア

 

 

 この世歌が上手い女多すぎて腹立ってきたな。どいつもこいつも顔が良いしよ。

「ブログ主が聴くタイプの曲ではないですけど」とかいうご親切な前置きが書いてありました。たしかにそうですね。俺の何を知った気になっているんだ思い上がるなよでもいい曲でした。

 

 

・四季/クリープハイプ

 

 

 声が良くも悪くもマジで特徴的でぞわぞわするし曲はかっこいいけど歌詞は女々しいしどんなライブ会場でもSEXしようって言わせる危ないバンドだしそもそもバンドメンバーの容貌が歌詞と微妙に合ってないし尾崎世界観は引くほど文章が上手いから気持ち悪いし、とにかくどこかちょっと琴線を明確に触らない絶妙な距離感を保ち続けてるマジで変な存在だけど、でも時折めちゃくちゃ聴きたくなるし聴いたらもうマジでカッコよくて困る。僕にとって、クリープハイプはそんなバンドです。きっとこれから先も僕の中の一番になることは無いんだけど、それでも本当に、ムカつくほどカッコいい。ずっとカッコよくあってほしい。

 

 

・足跡/the peggies

 

 

 ヒロアカの主題歌になってたので知ってる。めっちゃ良い曲。

 

 

・はしりがき/マカロニえんぴつ

 

 

 マカロニえんぴつはマジでバンド名変えるべきだと思うんだよな。俺「ハヌマーンが好きです」はドヤ顔で(言わないけど)言えても「あ、えっと……マカロニえんぴつが好きです……」は言えないもんな恥ずかしくて。25歳成人男性にマカロニえんぴつが好きですはきちいよ。まだ「けいおん!では平沢憂ちゃんが好きですデュフフ」の方がマシ。本当にもったいない。

 

 

・きれいなものだけ/春茶、くじら

 

 

 こういう曲作ればお前らアガるんだろ?って魂胆が透けて見えるし、実際その通りだから腹立つ。こういう雰囲気の曲はズルいんだよなマジでさ。全部良い曲に聴こえる。

 どうでもいいけどMVの女の子めちゃくちゃガタイが良い

 

 

・Ozero/8otto

 

 

(Ozeroは残念ながらサブスクも無ければYouTubeくんに公式らしいMVも無かったよ!ごめんね!)

 何年か前、邦楽ロックにハマりたての時代、この世代の邦楽ロックを聴き漁ってた時代もあって8ottoもその時に通ったけど、ドラムボーカルとか言うマジで意味が分からない構成と無骨で甘さのないめちゃくちゃカッコいい演奏に痺れて少しだけ聴いていた。今でもこのとんがったサウンドが恋しくなって無性に「dawn on」が聴きたくなることがごくまれにある。

 僕はニンジャスレイヤーでおなじみのSRKEENがめちゃ好き。

 

 

 

 というわけで3~5月分をまとめて感想を書きました。今回もたくさんの紹介をどうもありがとうございました。僕の性根が根本から「陰」なので、きらびやかで人生に一点の曇りも悔いも無い曲に対しては反射で壁をこさえるようにプログラムされているものでして、一部楽曲には私怨と呪詛を混合した毒を吐いてしまいましたが、これに関しては私の不徳の致すところばかりでございます。本当に申し訳ございません。しかしながら、これは言うなれば、ワタクシが私自身の命を守るための自衛行為であることを何卒理解していただけると幸いです。

 お題箱の方につきましては随時おすすめを募集中です。重たいお題以外はだいたい消化をしているつもりですが、今年の三月に「ラ〜テンくれぷすり〜」とだけ書かれた謎のお題が届いて、どうしたらいいか分からず以来ずっと残っています。なぜダレン・シャンの師匠で8巻か9巻くらいで壮絶な死を遂げる愛すべきバンパイアの名前を、ちょっと気の抜けた感じの表記にして送ったのでしょうか。僕はこれをどうすればよいのでしょうか。絵の練習のお題なのでしょうか。新手の殺人予告でしょうか。それとも送り主のストレスが産んだ鳴き声なのでしょうか。警察に駆け込んだ方がよいのでしょうか。怖すぎて3月からずっと泣いてます。

 こういうわけわからないものもなんとかリアクション取れるようにしますので、これからも暇なときにおすすめを送っていただけると嬉しいです。音楽以外でも何でもいいです。最低限のモラルの範疇で好きに書いて送ってください。

 

👇お題箱👇

odaibako.net

 

  お題箱におすすめいただいた曲でプレイリストを作っています。随時更新中です。

https://music.apple.com/jp/playlist/%E3%81%8A%E3%81%A0%E3%81%84%E3%81%BC%E3%81%93/pl.u-qxyl0vaF8x3VBe

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おまけ

 

odaibako.net

 

 さて。

 もうかなり前になりますが、蒙昧terminationについて語ってください、というお題が来ました。今更今世紀を代表する地球が産んだベスト・ソングに一端のCITSゴリスナー(ゴリスナー:ゴリラの一つ覚えのようにそればかり聴くリスナーのこと。また、椎名唯華ファンの呼称)である僕が何を語ればいいのでしょうか。当方途方に暮れてしまい、結局2か月ほど放っておいておく羽目になりました。

 しかし、頂いた以上返さねばならないのがこのお題箱の掟でございます。返答か、死か。お題箱を設置したものは設置した瞬間からインターネットのすべてに、言の葉の切っ先を喉元に向けられることになります。死とは、蒙昧terminationを聴くことが出来ない身体になる状態を指します。愛には終わりがあります。死です。死別は誰しもに平等にやってくる、愛という概念において最大の障害です。このお題を乗り越えることによって、僕と蒙昧terminationはまた一歩愛の根源に近づく。このお題を送ってくださった方は、僕に試練を与えたのだと思われます。愛がご勝手に錆びつく前にさっさと順を追って答えていきたいと思います。

 あ、あ。マイクチェック、マイクチェック。準備はよろしいでしょうか。対戦よろしくお願いいたします。

 

 蒙昧terminationという曲を語るにあたって考えねばならないこと、それはこの曲がCatcher In The Spy(以下、便宜上CITSとします)というアルバムの4曲目に配置されていることです。4。つまり、死。この曲はUNISON SQUARE GARDENの三人によってこの位置に配置された瞬間から「死」を纏っています。1~3曲目までに上がったボルテージをここで一度「殺す」そういう役割を持った曲です。サイレンインザスパイで加熱し、シューゲイザースピーカーで沸騰し、桜のあとで蒸発した血液を「冷却」し、上がり過ぎたテンションを「沈め」そして怒涛の勢いで移り変わる街頭風景で不安定な情緒を「終わらせる」役目を持っています。この異常さ、そうこの異常さから目を逸らしてはなりません。この曲は高らかに「死」を歌っています。

 CITSというアルバムはその極限まで研ぎ澄まされた鋭利さからなる、極めて殺伐とした作風からは想像も出来ないほどに、甘さに、儚さに、そして母性に溢れるという類稀なるカラーを持った、邦楽ロック史から見ても異色の一枚です。サイレンインザスパイの勢いのまま46分間を駆け抜けることも、勝算なんてノンストップな彼らからすれば造作もないことだったのは想像に難くありません。しかしそれではただの蛮勇、猪突猛進で終わる、固定概念なんてぶっ壊してしまえないアルバムとなっていたことでしょう。CITSがその異様な存在感を今に至るまで放ち続けているのはその特異な曲順にこそ在り、だからこそ蒙昧terminationという楽曲がこの位置に配置されていることは非常に大きな意味を持ちます。サイレンインザスパイから桜のあとにかけてのまさしく百年戦争のような一連の流れを、180度ひっぺがえして一度収束させること。前三曲を殺し、そして「君が大人になってしまうまえに」に120%のポテンシャルを発揮させる形でつなげること。この曲の役割こそが、CITSというアルバムを異質かつ極めて魅力的なものへと昇華させたと信じてやみません。

 故に、この曲はアルバム全体から見ても極めて孤独な立ち位置であると言えます。他の曲が前の曲、もしくは次の曲との密接なつながりを有しているのに対し、この曲はアルバムの構成という観点から見ると非常に浮いています(ただ浮いているというだけならメカトル時空探検隊も当てはまるが)。しかし裏を返せば、この曲の単騎性能は他の11曲と比べても非常に高いと言えます。考えてみてください。CITSが発売されてからもうすぐ7年が経過し、UNISON SQUARE GARDENには多くの曲が手札として増えましたが、蒙昧terminationの代わりが務まる曲が果たして存在するでしょうか。そう、しないのです。7年が経った今もその立ち位置は微動だに、微動だにしません。

 ここまで「孤高」という言葉が似合う曲もありません。孤高、アウトロ―、不可侵、異質。かっこよすぎます。男子小学生の将来の夢ランキングに「蒙昧termination」が入らない理由がわかりません。石橋を叩いて渡るような堅実な考えを持つ現代の小学生諸君には、こんな教科書は焼却炉に放り込んでそうな危なっかしい存在なんて勘弁してよplease,pleaseとでも言うのでしょうか。甘ったれとしか言いようがありません。令和時代のジェンダー観を無視する覚悟で言いますが、男らしさとは「蒙昧termination」のような存在を指すのです。どんな絶望的な岐路に立たされてもchance and chanceの精神ですべてをぶっ壊していく。むくつけきほどに逞しき"漢"らしさ。その異常さに例えひるもうとも、今ここから目を逸らしてはいけません。

 

 改めて聴きなおしてみても、本当にこの曲は異質で、独特で、目線が違います。トリッキーでスマートでそれでいてシブく唸るような楽器隊、ちょっと低めで時折吐き捨てるように、まさしく「落ちたゴミを笑っちまう」ように、どこか加虐的なエッセンスが香るボーカル、皮肉なユーモア満載、未だ問題児扱いされるメタ発言まで含んだ味わい深すぎる歌詞。3分18秒のプレイタイムに聴きどころが1 and 2 and 3 and 4とやりすぎなくらいに詰まっています。全生涯の威信と情けばかりのプライドを賭けてこの曲を論理と思慮で囲繞しようとしたところで、本質はいつだって素知らぬ顔でするりと語彙の壁をすり抜け、結局僕らは今日も勝手に連戦連敗の憐れな少女のように指をくわえたまま。麻薬に脳を冒された人間の綴る言葉を理屈で理解するのが到底不可能であるように、この曲によってもたらされる陶酔を言語化しようとしたところで、手の内に残るものはあっけにとられた自身の魂だけです。

 

 ちりばめられた言葉を片手の箒と片手のちりとりで集めるように一つ一つ詞として読み解いていくと、一定の段階である熟語について考察するようになります。そう、曲のタイトルにも含まれ、サビにて執拗に繰り返される「蒙昧」という言葉です。

 蒙昧、とは"知識が低く、道理に暗いこと"を指します。難しい言葉を使わずに言うのであれば「馬鹿」です。馬鹿を早稲田の学力で翻訳すると「蒙昧」になるのです。国境なんて興味ないどころか都道府県の位置すら曖昧な僕からすれば到底理解に苦しむ言語センスなのは疑う余地もありません。まず「蒙昧」って書けません。あまりの情けなさに心がちらりと疼きます。terminationの方はそのまま単純に「終了」の意です。蒙昧terminationで「馬鹿の終了」となります。蒙昧terminationが「馬鹿の終了」という曲名だったとしたら僕はCITSをここまで愛することはなかったでしょう。運命とは数奇なものですね。

 馬鹿の終了。蒙昧のtermination。つまり無知「蒙昧」であることを終えること。何かに気付きませんか? そう、次の曲である「君が大人になってしまう前に」の存在です。蒙昧であることを終了した、要するに「大人」になった「君」。「君が大人になってしまう前に」は、蒙昧であることを終わらせた「君」に向ける歌なのです。ここまで考えた上での曲配置です。田淵智也の楽曲、及び曲順構成の巧みさには本当に驚かされますね。

 冒頭で蒙昧terminationは4曲目、つまり「死」を歌う曲だと書きました。別にあれはふざけて書いたわけではありません。懲りてもいません。ここで「死」ぬのは蒙昧さであり、無垢な心です。古来から無知は罪と言います。蒙昧terminationは、無知だった己を殺し、清めるための禊であり、君が大人になってしまう前にはそんな無知だった魂を鎮めるレクイエムのようにも聴こえます。

 蒙昧terminationからこの曲を通ることによって、知らず知らずのうちに僕らは無知さを捨て、チェスのビショップのように斜に構えた聴覚でメカトル時空探検隊を聴き、結果その難解さに脳内にタイムマシンが張り付くことになるのです。ここまですべて田淵智也の手のひらの上。CITSはどこまでちらほらと読み解いたところで、田淵智也のこの斜めに進むカウンターでリングに沈められるように設計されています。この沼にハマるともう抜け出せません。結局今日も暖簾に腕押し糠に釘、ただこのままじゃなんか以下略と奮起して読み解こうと苦労をしてもするりと躱され叩き伏せられ、頬を腫らしたまま、とりあえずはいいやの心地で黄昏る羽目になるのです。蒙昧terminationを語ってくださいと言われても、一筋縄で語ることは不可能なわけでございます。この取っ散らかった考察を見れば一目瞭然でしょう。恥ずかしい限りです。

 

 さて、ここまでこの行き場のない長文を読まれた方の中には、「だーだーだーと呪文か経文 適当千万やりやがってこんなのがプロフェッショナルなんてがっかりだ金返せ」と申されたい気持ちになる方もいらっしゃることでしょう。ワタクシがプロフェッショナルでも有償で文筆依頼を請け負ってもないことはさておき、その気持ちは無理もありません。結局何一つとして明確なことが分からなかった、ただ長いだけの駄文に憤りを覚えるのは自然な反応です。

 そんなあなたにこの言葉を送りまして、このお題への解答の締めとさせていただきたいと思います。ここまでお読みくださいまして、本当にありがとうございました。

 

 あのね歌詞書いたの僕じゃないんで、田淵に言っておいて!