この記事は筆者、当ブログ「愛の座敷牢」管理人であるsikimi(@w3810t)が、2022年11月2日 熊本drum B-9で行われたUNISON SQUARE GARDENのワンマンライブ「fiesta in chaos」を日程を勘違いしてすっぽかすという、世紀のやらかし事件に関しての詳細とその顛末についてまとめた記事である。
当事件から早4か月あまりが経過し、一時のテンションで削除したTwitterアカウントも戻して、流石に当時より心の傷は癒えたと感じている。とはいえ未だに「fiesta in chaos」「fic」の文字列をTwitterで見かけるたびに舌打ちしながらTwitterアプリを閉じるし(創作アカウントを作った理由の3割くらいがこれ)、未だに「放課後マリアージュ」を聞けない。というかそもそも「カオスが極まる」のCDをまだ買えていないあたり、その傷は非常に深く、根強い。下唇を噛み切りすぎてもう下唇の予備がない。
このままだと4月発売の新アルバム「Ninth Peel」の発売にも支障をきたしてしまいそうなので、いい加減ここいらでもう清算したいのである。なんとこのアルバムの初回盤に、件のツアーのライブ映像(ライブ会場は異なる。当たり前である)が付くらしい。超高度なあてつけか? もう本当に余計な事しかしない。
この「Ninth Peel」の初回限定盤発売までに去年のワースト思い出ランキング第一位であるこの事件の禊を済ませ、カラッと晴れやかな気持ちでアルバム発売を迎えよう
ここまで読んだのならちょっと付き合え 以下本文
直接的なミスの原因はライブの1週間前、つまり10月の最終週までさかのぼる。
わたくしは普段、日銭を稼ぐためにクソみたいな製品を作る会社、略してクソを作る会社にて、作ったクソが優れたクソか出来損ないのクソかを判断する業務をこなしているのだが、その担当業務の中に「部署の内の出勤計画作成」という業務がある。
文字通り所属する部署の出勤計画、つまり部署内の人間がどんなシフトで回っていくつ有休を取り、どれくらいの残業を行うかを、次月の生産状況や年間計画で割り振られた時間外業務枠とにらめっこしながら決定し、上司に提出して現場のまったく見えていない脳みそお花畑なダメ出しをくらい、そこを突破して今度は上司の上司、a.k.aクソ山の大将から現実の見えていない脳みそ豚舎以下のダメ出しをされる、そういう無情な業務である。
なんで職場で一番下っ端のわたくしが、自分より二回りも年上の先輩方のシフトや有休計画を管理しているのかって? Excelをそれなりに使えるのが俺だけだからだよ SUM関数が分かるだけで異世界転生したオタクくんのごとき無双が可能な職場、興味ある方はぜひ
上司二人が重箱の隅を楊枝でほじくる資格の有段者なので、どう計画を組もうと何かしら文句を突きつけられ、人格とプライドをそこはかとなく殴られるだけの損しかない業務なのだが、唯一といっていい利点がある。自身の有休の日程を自由に決められるところである。この利点を最大限に使って、わたくしは自分の行きたいライブのある日の有休をゴリ押しで通し、当日の職場がどれだけの惨状になっていようとヘッドフォンで耳を塞いで高速バスに乗り込むのだ。去年の10月末も、たしかそんなんだったと回顧する。
最初に結論を言うと、有休を取る日付を間違えたのである。11月2日に取るべきだった有休を、3日に取った。ライブが3日だと思い込んで、3日に有休を取った。その後確認もしなかった。もう、それだけ。それだけである。
ええええ分かりますとも。確認しろ、そういいたい気持ちも分かる。現に僕もタイムマシンがあったら過去の自分に「お前は不注意がきっかけでTwitterアカウントを消すことになる」と教えたい。ついでに2,3発殴りたい。でもまあ、その気持ちをちょっと抑えてこれを見てほしい。昨年11月のカレンダーである。
そりゃ祝日に来ると思いません?
逆になんで祝日を抑えてないんだよ。そっちの方がおかしいまである。
だいたい「fiesta in chaos」の情報解禁、およびファンクラブ先行のチケット販売が行われたのが8月で、そっから3か月も期間が空いたらだいたい11月のはじめ辺り、くらいの記憶しかないわけで、そんなふわふわとした記憶のままこのカレンダーを見たらそりゃ祝日に来ると思うじゃないですか。勘違い、するじゃないですか。しない? それはお前が出来過ぎてるだけです。ちゃんと確認しろ? あの、ぐうの音も出ない正論で殴るのやめてもらっていいですかね ロジハラですよ
ともかく、ご都合主義の世界で生きているわたくしはこのカレンダーを見て、ああユニゾンは3日に来るんだな、じゃあ3日に有休を取ればいいんだな、こうなってしまったわけだ。あとこれは余談ですが、残念なことに弊社は祝日は普通に出勤です。代わりに盆と正月とゴールデンウィークのお休みが長い。なので単純に、貴重な有給休暇を一日無駄にしたことになる。
で、この致命的過ぎるミスに気付かないまま迎えた11月3日、くもり。
社会に適合しすぎた社会不適合者であるわたくしは、有休を取ろうが取るまいが起床時間が全く変わらない。というか平日用のアラームを休日だろうと億劫がってオフにしない。6時にけたたましく鳴り響くアラームに内心中指を立てながら目を覚まし、顔を洗い、今日が有休であることを覚醒しつつある頭で再確認する。簡単な朝食を済ませ、いつものようにTwitterを眺めた。
余談だが僕は普段から「UNISON SQUARE GARDEN」および「ユニゾン」をワードごとミュートしている。セットリストのネタバレ関係なく、である。fun time HOLIDAY 8が延期になったあたりからだったと思う。それによる情報の遮断もライブすっぽかしに災いした気がしないでもないが、普段からろくにタイムラインを見ていないのであまり関係ない気もする。わたくしはわたくしのツイートが一番好きなSNS限定ナルシストなので、Twitterの主な使い方は「自分のツイートを自分でワード検索かけてニヤニヤすること」である。これからはもう、アホと呼んでほしい
とりあえず早起きしても特にやることもなく、三文くらいの徳なら寝てた方がマシだというのは本当だな、とか考えながら、昼過ぎまで好きなVtuberの配信をスマホで垂れ流しつつスプラトゥーン3を延々とプレイしていた。働き盛り成人男性としては最悪なコンボである。酒と煙草キメながら汚え部屋にデリヘル呼ぶくらい最悪
たしかこのダラダラしてる時に暇見てライブチケットをダウンロードしたと思うが、これが本当に厄介なことにライブチケットってライブが終わった1日後でも問題なくダウンロード出来るんですよ。これマジでもう本当に悪質。まあその、ライブが近いからさっさとチケットをダウンロードしろ、っていうメールにはちゃんとライブの日付が書いてあるんですけどね 何なら電子チケットにもちゃんと日付はある
もうこの「確認」という行為を怠るのは僕の本当に、本当に悪いところで、どうやったらこの肝心なところで手を抜いてしまう性根って治るんですかね。物事を先延ばしにする、もしくは指差し確認を怠るなどすると、脊髄に強めの電撃が流れるみたいなハンデを背負うとかしないと無理かもしれない。
そうして昼が過ぎた頃くらいに簡単に身支度を済ませ、最寄りの駅から市街地へと向かう。熊本DRUM B-9という箱は比較的いい場所に建っており、アーケード街から路地一つ分しか離れておらず、カフェに古本屋に、下通り側に行けばゲーセンに漫画喫茶にボウリング場にと時間つぶしに全く困らない。何から何まで福岡に負けていると話題のわが県であるが、ことライブ前の時間つぶしだけは福岡とかいう街には負けない気がする。親不孝通り、およびマリンメッセ近辺が何も無さすぎるのが悪い
DRUM B-9のライブ前の時間つぶしは、決まって近辺の古書店を物色して回るのがお決まりになっており(いい感じの古書店が3つくらいあるぞ!)その日もいつものように掘り出し物がないかと100円均一棚とにらめっこしていたのだが、ここで道行く人の服を見て、なんとなく違和感に気付き始める。
「なんかHEY-SMITHのバンT着てる人多くね……?」
(当時のDRUMB-9のライブ日程)
さすがにここで気付けよ、と今でも思う。なんならその足でB-9の本日公演の張り紙を見に行けばその場で崩れ落ちて終わった話だろうに。ただこの時の僕はライブ前特有のウキウキによるくそ麻酔が脳に掛かっていたので、開演時刻が少しズレているのを見て「ヘイスミスのライブが終った後にユニゾンのライブがあるんだな! 大変だなB-9も」とか、そんなトチ狂った結論で勝手に納得していた。大変なのはお前の脳みそだよバカ
自分以外にユニゾンのバンTを着ている人間は誰もいないのに、自分が間違っているとは欠片も思わない、あまりにもゆるぎない謎の自信。クソを作る会社で毎日、つつけばほころびがとめどなく溢れるようないい加減な業務を何気ない顔で行う末にたどり着いた、自分だけは間違わない、自分だけは大丈夫と自分自身を納得させる、正常性バイアスの極致。この年齢で、致命的な方向へと、強烈に、悟っている。何の能力も、危機感も、根拠もないのに、自分は大丈夫だと、澄んだ瞳で間違っている。こいつはなんなんだ? なんでここにいる? 何故呑気な顔でサンマルクカフェでコーヒーを飲んでいる? この街の、お前以外のユニゾンファンは、昨日すでに狂乱のさなかにいたというのに 文字通り後の祭りだというのに
その足で漫画喫茶に入って漫画を読み、開場までの時間をつぶした。確か「ドクロ」を読んだ気がする。昔のヤンキー漫画のスピンオフである。
基本的に何も考えていないし、そもそも思考という行為が苦手なので、とにかく時間をつぶしたいときは大抵ヤンキー漫画を読んでいる。ヤンキー漫画はいい。展開がワンパターンな上にアクションは派手で血みどろなので。治安の悪い水戸黄門みたいなノリで読める
開場時間前になったのでライブハウスに移動を始める。この時点でようやくユニゾンファンが会場近くにいないことに疑問を抱き始める。昼中に見たヘイスミスのバンTを着た、有毒のカエルのような髪色の女性群が脳裏を過ぎる。
いやいや、そんなはずはない、自分の身の回りにユニゾンのファンがいないように、彼らのファンは日ごろ忍者のように身を潜めているのだ、そんな、ライブ日程を間違えるはずがない、今頃B-9の前にはたくさんの、たくさんの"同志"と書いてユニゾンファンと読む、そんなひとたちがたくさんいて、俺は今日ここでうわさの放課後マリアージュと初対面を済ませるつもりで――――
「すいませんまだチケットありますか~?」
「いや流石にもうないですよ! なんてったってヘイスミの15周年ですからね!」
あれ
まじで、今日、何日?
ここでようやく、自分がとんでもないミスをやらかしたことに気付いた
本当に、全身から血の気が引いた 頭がまっしろになった
それから僕はほとんど放心状態で家に帰り、普通にベッドにぶっ倒れて延々と呪詛を連ねていたが、何だかんだ空腹感を覚えて近所のパスタ屋に飯を食いに行った。いくつかの「やらかした」ツイートとともに。
そのつぎの日、仕事の休憩中にTwitterで熊本公演の感想を見て、シンプルに殺意のようなものが湧いてしまったことがきっかけで、潮時を感じて樒(@w3810t)のTwitterアカウントを消した。アプリも削除した。
実はその当時いろいろあって「Twitterなんか窮屈になったからいっそやめてぇ~~~~」と思っていた時期だったので、ほんの少しだけだが、ちょうどいいかなという心境はあった。比較的よく交流するフォロワーとはnoteで繋がってるからまあ別にいいだろ、という短絡的な考えもあった。今は反省している。あと、本当はnoteも全記事非公開にするつもりだったのだが、noteが一括で全記事非公開にするみたいなことが出来なくて、当時たしか80記事くらいあった自分の記事をすべて手動で非公開にするのがはてしなく面倒で、やめた。そのものぐさ精神のおかげで文章企画のおさそいに関する連絡を受けられたのだから変な話である。
Twitterを閉じていた時期はずっとポケモンをやったりスプラトゥーン3のフェスをやったりしていた。精神状態がめちゃくちゃな状態でナワバリマッチをすると信じられないくらい負けることを痛感した。ライブをすっぽかした後のメンタルで対人ゲームはやめた方がいい。余計に気が滅入る。
今となってはさすがに傷も癒えてきて「やっちまったな~」の程度の笑い話になってはいるものの、これから先もUNISON SQUARE GARDENのファンである以上「fiesta in chaos」というライブについてはずっと負い目に感じると思うし、アカウントを一度消した事実も消えないし、UNISON SQUARE GARDENというバンドそのものにも嫌な思い出が出来てしまったことは否めない。
なにより、自分がとんでもないポカミスで日程を勘違いして、貴重なチケット一枚を無駄にしてしまったことで、行きたかったけどチケットが外れてしまった方の気持ちを結果的に踏みにじってしまったことになる。それに関しては本当に申し訳なく思う。人気バンドの現地のライブにある程度の倍率を乗り越えて赴くというのは、そういう観点で言えば単純なチケット代以上の価値と、意味があることなんだなと改めて思い知った。
まあ一回くらい痛い目見ないと分からなかったんだなと思う。勉強代です。高すぎるけど。
これから9枚目のアルバムである「NInth peel」が発売されて、また彼らはライブツアーをおっぱじめるわけだが、痛い目見た僕だから言える。マジで他人事じゃない。自分の行くライブの日程はちゃんと、念入りに確認しよう
もうこんなアホが日本国内に何人いるのか知らないが、悪いことは言わないのでTwitterのbioか所在地か何かに次のライブ予定を書いたり、名前のうしろに「@○/○【バンド名】(会場名)」みたいな感じにしたりした方がいい。陽キャっぽくてなんか肌に合わねえ、なんか気に入らねえ、なんかダセえのは分かるがライブすっぽかす方が100倍ダセえんだから耐えられるだろ わがまま言うな
ああ僕? 僕はもうあれですよ、あのよく、忘れ物しないように手のひらとか手の甲ににサインペンで書くやつあるじゃないですか。あれの進化版やってるんで。ええ。左手に行くライブ日程のタトゥーをいれてます。次はヒトリエ、4/28です。よろしく